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衆院政倫審に臨む萩生田光一・元政調会長=2024年12月18日午後2時58分、国会内、代表撮影

 萩生田光一・自民党元政調会長の政策秘書が略式起訴された。不起訴の判断を一転させた検察が重視したのは、「国民の声」だった。ただ、公開の裁判を求める正式起訴ではないため、詳しい経緯や動機は法廷で明らかにならない。萩生田氏も説明責任を果たす姿勢は見られない。

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不起訴維持か刑事責任追及か

 萩生田氏の牛久保敏文・政策秘書(46)について、検察審査会が「起訴相当」と議決した6月、検察内には動揺が広がった。

 不起訴を維持するのか、一転して刑事責任を追及するのか――。ある検察関係者は「正解がない判断になる。悩んでいる」と漏らした。

 検審の議決は、特捜部の判断について「起訴猶予を続ければ虚偽記載はなくならない」と厳しく批判。再捜査して不起訴を維持したとしても、2度目の審査で起訴すべきだと議決されて「強制起訴」となることは必至だった。

 検察が刑事責任の追及をためらった理由は、過去にあった同様の事件を踏まえて設定したとされる「立件の基準」にあった。

 自民党派閥をめぐる裏金事件で議員や秘書らの刑事処分を2024年1月に決めた際、虚偽記載額「3千万円」という基準を上回った議員らを立件した。一方で、2728万円だった萩生田氏をはじめ基準を下回った議員らは、いずれも不起訴とした。刑事処分の公平性を重視した形だ。

「消極」の特捜部、「積極」の検察上層部

 特捜部は、起訴相当の議決を受け7月初めに再捜査を本格化させた。

 ただ、24年1月の処分を決…

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