日本郵便の軽トラック=2025年6月4日、東京都港区、西岡臣撮影

 郵便物の配送などに軽貨物自動車を使う郵便局に国土交通省が監査を行い、東京や大阪などの100局以上で、運転手への点呼の実施が不適切だったことがわかった。国交省は貨物自動車運送事業法違反に当たると判断し、車両の使用停止処分を科す方針を固めた。

  • 車両の「使用停止処分」とは

 国交省は行政手続法に基づいて3日にも処分方針を日本郵便に通知し、10月中にも正式に処分する方針だ。

 同社はすでに一般貨物自動車の許可を取り消され、拠点間の輸送に使うトラックなど約2500台が使えなくなっている。更なる処分で、宅配便や郵便物の配達に使う軽バンなども使えなくなり、物流機能に影響が出ることは避けられない。

 日本郵便では、運転手の健康状態などを調べる法定の点呼が各地で適切に実施されていないことが判明。同社は4月、対象となる全国3188郵便局の75%にあたる2391局で不適切な点呼があったとする全国調査の結果を発表した。

トラック許可取り消しに続き

 国交省は6月、まずトラックなどの一般貨物車の許可を取り消した。さらに軽貨物車に関して立ち入り監査などを実施し、全都道府県で違反が認定される見込みだという。

 貨物自動車運送事業法では、軽貨物車の運転手に対して点呼を怠っていた場合、事業所ごとに車両の「使用停止」という行政処分が科される。停止日数は違反の重さによって変わり、事業所の規模によって停止となる台数も決まる。今回、郵便局によっては割り当てられる「使用停止」の日数が100日以上となるものもあり、この停止日数を、処分対象となる車の台数で振り分けていく。

 軽貨物車への処分は郵便局ごとで、処分は順次科され、最終的には全国で計約2千局に上る可能性があるという。日本郵便は軽バンなど軽貨物車を全国で約3万2千台保有しており、配達に関してトラック以上の主力だ。

 同社はトラック便の約58%を子会社や同業他社に委託し、残りを自社の軽貨物車で代用してきた。同社は今後、使用停止となる軽貨物車について、同業他社への委託を増やすなどして対応するとみられる。

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