夏の参院選を前に、各党で「減税」をめぐる動きが加速している。一方、財務省前で繰り広げられている減税デモは全国に広がり、勢いが止まる気配はない。元財務官僚の森信茂樹さんは、財政赤字が拡大すれば国債安・金利高・円安で国民負担が増すとして、財源なき減税論が飛び交う「財政ポピュリズム」に警鐘を鳴らす。
- 財務省前デモは中間層の不満のマグマ トンデモと切り捨てられない
財務省は政治をしのぐ力を持っている?
デモの訴えの中心は「減税」「積極財政への転換」などで、それに反対する財務省は国民の敵だ、ということのようです。生活の窮乏や格差拡大への不満が動機にあることは理解できます。しかし、主張には誤認に基づいた、いわば「財務省都市伝説」を根拠にしたものも少なくありません。
「財務省は政治を凌駕(りょうが)する権力を持ち、30年以上にわたる緊縮財政で国を貧しくした」という言説は、その典型です。
バブル崩壊後、国は事業規模で140兆円超の経済対策を行ってきました。安倍政権下では財務省が反対した消費税の軽減税率が導入され、法律で決まっていた消費増税は選挙対策のため2度も先送りされました。岸田政権下の「1人4万円の定額減税」や異次元の少子化対策も、財務省には寝耳に水でした。
直近でも、今年度当初予算で…