世田谷区役所

 東京都世田谷区は2日、太平洋戦争中に空襲で被害を受けた民間人らへの独自支援について、見舞金として1人につき3万円を支給するなどの具体的な検討内容を明らかにした。検討案を区議会に示し、年内の決定を目指す。支給が決まれば、都内初となる。

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 区の検討案によると、支給対象は太平洋戦争が始まった1941年12月8日から、沖縄戦が公式に終わった45年9月7日までに空襲や艦砲射撃などで負傷したことで、身体や精神に障害のある区内在住者。支給は1人1回のみとなる。

 想定人数は約90人。来年1月から申請を開始し、来夏ごろの支給を目指す。区は「戦後80年となり高齢化が進む中、被害者の長年の心情に寄り添い、恒久平和を願うメッセージを発信する」としている。

 政府はこれまで基本的に、民間人の戦争被害を補償の対象としない一方、軍人・軍属らに総額60兆円を補償してきた。そのため、一部の自治体は、独自に民間戦災者に見舞金を払ってきた。2010年度に見舞金の制度を始めた名古屋市では現在、1人当たり年10万円支給している。

 国会でも、超党派の国会議員連盟が救済法案を検討しているが、成立していない。複数の戦争被害者らでつくる団体は、戦後80年を節目に年内の成立を求めている。

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