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フランステレコムで2008年から09年に起きた従業員の連続自殺に関する「モラルハラスメント」の裁判が、パリで19年5月に始まった。裁判所でメディアに囲まれる当時の経営者=AP
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 最近では兵庫県や自衛隊で問題になっているパワハラ。自治体、大学、企業……。パワハラにまつわるニュースが絶えません。日本は、世界と比べても問題が深刻なのでしょうか。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長に聞きました。

 ――世界でも職場のハラスメントは問題になっているのでしょうか。

 この20年ほどで、世界的に問題として捉えられるようになり、2019年に職場の暴力とハラスメントを禁じる条約が国際労働機関(ILO)で採択され、21年に発効しました。「ハラスメント」という言葉は一般に浸透していますが、国によって問題意識の背景が異なり、それぞれ独自の用語、用法があります。

日本でだけよく聞かれる質問

 「パワーハラスメント」は、日本でしか通じません。日本のパワハラにあたるような職場での行為は、フランスでは「モラルハラスメント」、英国では「bullying」、ドイツでは「mobbing」と呼ばれています。英語、ドイツ語はいずれも「いじめ」という意味の言葉です。

 ――日本は世界でもハラスメ…

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