長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)は4日、世界9カ国が保有する核弾頭の概数が1万2340発になったと発表した。増加に転じたのは2013年に統計を始めて以来初めて。退役や解体待ちを除く「現役核弾頭」も増加傾向にあり、RECNAは「世界で核軍拡が進んでいる」と指摘した。各国の保有数を示したポスターは昨年から現役弾頭数を示すデザインに変更している。
各国政府の公表資料などをもとに6月1日現在の推計値をまとめた。ロシア(5460)は減ったが、米国(5277)、中国(600)、インド(180)は昨年より増えた。配備済みや配備に備えて貯蔵されている現役核弾頭は9615発。米ロ間で核兵器の削減目標を取り決めた新戦略兵器削減条約の履行期限だった18年よりも3・9%増加したという。
RECNAは、全体の核弾頭の保有割合が米ロ以外の7カ国で高くなっていることを指摘した上で、「インドとパキスタンの状況の悪化もあり、核軍拡が進んでいる中で、いつ使われるかもしれないリスクの非常に高い状況が続いている」と分析した。
中村桂子准教授は「質的な軍拡、近代化や新型核弾頭の開発や配備が進んでいる」と述べた。