プラスチックによる環境汚染を抑えるため、さまざまな品物に「生分解性プラスチック」が使われるようになってきた。一般的なプラごみは長い年月にわたって環境中にとどまるが、生分解性プラは土壌などの微生物に分解されるため環境への負荷が小さい。ただ、プラごみ汚染が深刻化する海では、分解されないものが多いという。打開策はあるのか。
この春、スターバックスコーヒージャパンの店舗に緑色のストローが戻ってきた。
同社は2020年、プラ削減のため緑色のプラ製ストローをやめ、紙ストローに切り替えた。ただ、耐久性や飲み心地に課題があり、5年ぶりにプラ製ストローに戻すことにしたのだ。
といっても、以前のような一般的なプラではない。「Green(グリーン) Planet(プラネット)(GP)」という生分解性プラだ(物質名PHBH)。
GPは植物油などからつくられるバイオマスプラで、国内大手のカネカ(東京都港区)が開発した。ストローのほか、コンビニのスプーンやホテルの歯ブラシ、買い物袋、化粧品の容器など用途は幅広い。環境に流出しても、微生物が分解するのでプラごみ汚染を抑えられる。
有能な微生物を探せ
「ただ、分解されるまでに数週間から数カ月かかる。もっと短縮できないか」。慶応大の宮本憲二教授(微生物資源循環学)は、そう考えた。20年以上前、カネカでGP開発の初期段階に携わっていたこともあり、使い勝手をよりよくしたかったのだ。
カギを握るのは、GPを分解する微生物だ。
宮本さんは兵庫県内のカネカ…