国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は12日、紛争や迫害などによって家や故郷を追われた難民や国内避難民らの総数が2024年末時点で1億2320万人だったとする報告書を発表した。23年末と比べると700万人増えたとしており、過去最多を更新した。
国連が定める20日の「世界難民の日」を前に発表された報告書によると、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の武力衝突が続くアフリカ北東部のスーダン出身者が最も多く、1430万人。シリア出身者が1350万人、アフガニスタン出身者が1030万人、ウクライナ出身者が880万人だった。イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザを含めたパレスチナ難民は590万人だった。
一方、今年4月時点では1億2210万人と、24年末と比べて約1%減った。「今世紀最大の人道危機」ともよばれたシリアで昨年12月、アサド政権が崩壊し、故郷に戻る人が増えていることが要因だという。
UNHCRは難民や避難民らの減少傾向が続くかどうかは、各地の紛争で戦闘が停止するかにかかっていると指摘した。ただ、故郷に帰還できたとしても、社会インフラの未整備や食料不足などの問題があるとして、国際社会の支援が必要だと訴えた。