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水素を熱源に焙煎したコーヒーの製品=2025年4月23日、静岡県富士市、長橋亮文撮影
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 UCC上島珈琲(神戸市)は23日、水素を熱源に使って焙煎(ばいせん)したコーヒーの量産を静岡県富士市の工場で始めたと発表した。同社によると、量産化は世界初だという。

 豆の焙煎には通常は天然ガスを使うが、水素を熱源に焙煎することで二酸化炭素(CO2)を発生させない。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、2022年から水素焙煎機の開発を始めた。工場への設備の導入などに約10億円を投資した。

 水素は天然ガスよりも火力の調整がしやすく、弱火でも焙煎できる。使用する豆によってはフルーティーで甘みがある味わいを引き出せたという。

 気候変動によって2050年にはコーヒーの生産に適した土地が半減するとされ、同社はカーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みを強化している。親会社のUCCジャパンの上島昌佐郎社長は「CNに貢献する水素を活用し、おいしさという価値を加えることができた例は世界のコーヒー産業でも珍しい事例だと自負している」と述べた。

 家庭用を含む7製品をオンラインストアや直営店で順次発売する。6月初旬から売り出す缶飲料は4本で税込み1674円。まずはカフェチェーン店やホテルをターゲットにして、販売拡大をめざす。

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