飛鳥時代に建立された世界最古の木造建築で、東アジア仏教美術の至宝とされる仏教壁画が描かれた法隆寺金堂(国宝、奈良県斑鳩町)。昭和の修理で再使用されなかった建築部材などが、2024年に国宝に追加指定された。その古材をはじめとした国宝や重要文化財など多様な寺宝を紹介する特別展「国宝金堂古材と護(まも)り継ぐ寺宝」が、境内の大宝蔵殿で開催中だ。6月15日まで。
金堂は昭和に入って、苦難の道を歩んできた。戦前に始まった「昭和の大修理」では、建物を解体して傷んだ部材を交換・修理し、再び組み直す方法が採られた。工事に先駆けて壁画の写真撮影や模写が行われ、建物の上半分は解体され、部材は境内や県内の各地で保管された。
終戦後も壁画の模写は続けられたが、1949年1月に起きた火災で壁画が焼損し、建物の下半分も大きな被害を受けた。修理は54年に終わったが、新しい木材に交換され、再利用されなかった古材は捨てられずに寺にずっと保管されてきた。
展示されているのは、国宝に追加指定された解体時の古材と火災の焼損部材の計3284点の一部。金堂上層の周りに取り付けられた「卍字崩高欄(まんじくずしこうらん)」や、屋根の四隅の尾垂木(おだるき)の上に、出桁(屋根の垂木をささえる横材)を支えるために組まれた「出桁下雲肘木(でげたしたくもひじき)」、飛鳥時代の工人の落書きが残された「焼損天井板」などが並ぶ。
法隆寺録事の網干良秀さんによれば、59年ごろから法隆寺国宝保存工事事務所長を務めた建築史家の竹島卓一氏と、修理工事の棟梁だった西岡常一氏が古材の調査を実施。永久保存とすべき古材について1件につき1枚ずつつくった調査カードの一部も公開する。
玉虫厨子内に安置の観音菩薩像、普賢延命菩薩像も
金堂天蓋飛天(国宝)も計6…