Smiley face
写真・図版
ピアニストのアルフレッド・ブレンデルさん=1999年、東京都内

 ベートーベンやモーツァルトなど、古典派音楽の正統的な解釈と理知的な演奏で知られた世界的ピアニストのアルフレッド・ブレンデルさんが17日、死去した。94歳だった。英BBCなどが伝えた。ロンドンの自宅で亡くなったという。

  • アルフレッド・ブレンデルさん 美音の源泉にあった作曲家への忠誠心

 1931年、現在のチェコで生まれた。6歳でピアノを始め、エドウィン・フィッシャーやパウル・バウムガルトナーに学び、48年に17歳でデビュー。翌年、ブゾーニ国際コンクールで入賞し、国際的な活動を開始した。

 当初はリストの技巧的な演奏で知られたが、次第にベートーベンやモーツァルト、シューベルトにレパートリーを絞っていく。「作曲家の意図を忠実に伝えることが演奏者の務め」という信念のもと、正統な様式を踏まえた演奏スタイルを確立し、その後の多くのピアニストに多大な影響を与えた。

 精力的にコンサート活動に取り組んだほか、ネビル・マリナーの指揮でアカデミー室内管弦楽団と共演したモーツァルトのピアノ協奏曲全集や、3回にわたるベートーベンのピアノソナタ全曲録音など、数多くの名盤を残した。ディートリヒ・フィッシャーディースカウの伴奏を務めるなど、ドイツ歌曲の演奏にも定評があった。

 初来日は71年。2008年12月、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演したのを最後に引退していた。09年、世界文化賞受賞。

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はフェイスブックで「音楽思想家のひとりであった彼に、心より哀悼の意を表します」と悼んだ。

共有