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資産範囲から除外を求められた北沢地区の施設群。明治以降の建造物が密集する=新潟県佐渡市
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 世界遺産条約が生まれて半世紀あまり、国家間の外交や国際政治の干渉が叫ばれて久しい。この夏の登録をめざす「佐渡島の金山」(新潟県)もまた、その影響から逃れられなかったようだ。

 6月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は佐渡金山に対して「情報照会」を勧告した。

 文化遺産へのイコモス勧告は、本番の世界遺産委員会での行方を占う判断基準だ。「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階評価で、構成資産の一部除外を求めた条件つきの登録勧告が出ることもある。

 イコモスは今回、明治以降の構造物が残る北沢地区の資産範囲からの除外やバッファーゾーン(緩衝地帯)の拡大、さらに追加的に、採掘が行われたすべての時期を通じた「全体の歴史」への説明・展示戦略の策定や施設・設備の整備を求めた。

 かつてユネスコの指摘を受けて推薦書を再提出してまで入念な準備を進めてきた地元からは戸惑いの声も。が、内容を分析すると、本島をのぞく神社建築や古墳群を外すよう要求された「宗像・沖ノ島」(福岡県)や、著名な景勝地である三保松原の除外を求められた「富士山」(山梨県・静岡県)などの条件つき登録勧告よりむしろ「満額回答」に近いのでは、との見方が相次ぐ。

 北沢地区の除外もネガティブ…

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