陸上競技の「競歩」はその名の通り、歩く速さを競うスポーツだ。そもそも、「歩く」と「走る」の違いは、どこにあるのか。
競歩には、大きく分けて二つのルールがある。
一つは、両足が地面から同時に離れないようにすること。走るときのように、一瞬でも両足が空中に浮いてしまうとダメだ。これを「ロス・オブ・コンタクト」と呼ぶ。
もう一つは、前に出した足が地面に着いてから垂直になるまで、ひざがまっすぐに伸びていないといけない。このルールは、「ベント・ニー」という。
【スロー映像で解説】競歩選手はなぜ速く歩けるのか 藤沢勇×山西利和
世界記録保持者の山西利和さん、オリンピック経験者の藤沢勇さんのインタビューを交え、スロー映像とともにフォームや速さの秘密を徹底解説します。
レース中は、複数の審判が自分の目で選手たちの動きを見ている。反則が疑われる場合は、どの違反かを図で示した円形の札がついた棒を、選手に出して注意する。この棒を「イエローパドル」という。
反則と判断したときは「レッドカード」を出す。3回以上出された選手は、決められた場所に一定の時間とどまるペナルティーが与えられたり、失格になったりする。
川野と山西に優勝の期待
競歩は、日本の選手が得意とする「お家芸」ともいわれている。2016年のリオデジャネイロ・オリンピックから23年の世界選手権まで、6大会連続で世界大会のメダルを獲得した。
男子20キロ競歩では、山西利和(愛知製鋼)が1時間16分10秒の世界記録を持っている。世界記録保持者は、現役の日本選手では山西だけ。13日開幕の世界選手権(世界陸上)東京大会でも金メダルが期待されている。
競歩には、距離の変更が繰り返された歴史もある。
20キロと50キロが実施される時代が長かったが、22年からは20キロと35キロに。来年以降は、ハーフマラソンと同じ21.0975キロと、マラソンと同じ42.195キロに変わる予定だ。
世界陸連は、一般の人たちにより親しみがある距離にするためだと説明している。
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