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9月13日に開幕する陸上の世界選手権東京大会の会場・国立競技場のトラック。世界陸上の女子種目に参加するためには、遺伝子検査を受ける必要がある
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 世界陸連が、女子種目に参加する選手を対象に遺伝子検査を始めた。SRYと呼ばれる遺伝子の有無を元に、資格を判断する。9月13日開幕の世界選手権(世界陸上)東京大会に出場するためにも検査が必要となる。

 SRY遺伝子とはどのような働きをするのか。検査をする上での課題は。小児内分泌が専門で、性に関する遺伝子検査の経験もある、元・国立成育医療研究センター診療部長の堀川玲子さんに話を聞いた。

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 ――世界陸連が遺伝子検査を導入しました。SRY遺伝子とは?

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 「男性の典型的な性染色体はXYですが、Y染色体上にSRY遺伝子が存在します。SRY遺伝子が存在することにより、性腺が男性の性腺である精巣に分化し、精巣から分泌されるホルモンにより内性器、外性器の分化へとつながっていきます。SRY遺伝子が働くと、卵巣への分化を抑制する因子が働き始めます」

 ――染色体検査と遺伝子検査との違いは?

 「ごくまれですが、XX染色体の上にSRY遺伝子が存在した人の報告例もあります。性分化の起点としてSRYが重要なのは間違いないので、その有無を検査するということだとみられます」

踏み込んだという印象

 「染色体の検査は時間がかかる一方、遺伝子検査は数日以内で結果がわかります。スクリーニング(選別)という意味では遺伝子検査の方が適しているのかと思います」

 ――検査の導入をどう捉えますか。

 「踏み込んだな、という印象です。Y染色体やSRY遺伝子検査の結果といった性を巡る情報は、人権問題とも関連するためです」

 「臨床の現場でも、SRY遺…

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