7月26日に開幕するパリ五輪。体操で世界のトップとして活躍した内村航平さん(35)が、NHKの五輪中継や関連番組に「アスリートナビゲーター」として出演し、大会を盛り上げます。伝え手として迎える今回のパリ五輪への思いを聞きました(取材は7月2日)。
――五輪4大会(2008年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ、21年東京)に出場し、個人総合2連覇を含む七つのメダルを獲得しています。伝える側として、五輪に関わる心境は。
出場しない五輪は、アテネ五輪以来20年ぶり。不思議な気持ちですね。アテネを見て、「いつか自分もその舞台に出たい」と思った。それから、まさか4大会も出られると思っていませんでした。次は伝える役割ですが、自分の人生において五輪は、切っても切れない縁があると感じています。
スポーツは物理学
――伝える仕事を受けようと思った理由は。
大小二つの理由があります。
小さな理由は、シンプルに、外から五輪を見てみたかった。僕はスポーツを「物理学」だと思っていて、色んな競技を通じて、人間がどのように動作を行うかということに興味がある。例えば、水泳でプールに飛び込む際の放物線や、柔道の投げ技に美しさを感じた時、「どうしたらそういう風に動けるのか」を考えることが好きなんです。
大きな理由は、東京五輪から五輪の価値が少し下がりつつあると思っている。だから、恩返しをしたい。
僕自身、五輪で名前が知られるようになったし、五輪という舞台に本当に、感謝しています。自分が携わることで、五輪の価値がこれ以上、下がらないようにできないか、という思いがあります。
――東京五輪は、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中での開催で、世論が二分されました。
東京五輪は、イレギュラー続…