• 写真・図版

 静岡県牧之原市の認定こども園で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん(当時3)が通園バス内に取り残され、熱射病で死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた前理事長兼園長の増田立義被告(74)と元担任の西原亜子被告(48)の公判が13日、静岡地裁であった。千奈ちゃんの両親が被害者参加制度を利用して意見を述べた。意見陳述の要旨は以下の通り。(田中美保)

  • 「娘は生き地獄の恐怖味わった」 園児バス放置死、遺族が法廷で訴え

母親の意見陳述(要旨)

 事件以降、とてつもない喪失感と絶望感に襲われています。本当に生きていくのがつらく、苦しく、2人の子どもの存在が生きがいでした。

 千奈を返して欲しいと毎日、毎日思います。千奈の死に対する悲しみ、絶望は言葉では表現できません。初めて産声を聞いた時、やっと会えた喜びと感動で涙したことを今でも鮮明に覚えています。

 私は千奈を大切に、大切に育ててきました。おなかの中にいることが分かったときから、9月5日、朝バスに乗せる時まで必死に千奈を守ってきました。家族4人で幸せに暮らしたかった。全てを奪った加害者を絶対に許すことはできません。

 幼稚園を信頼して子どもを預け、いつものようにバスに乗り、登園しただけなのです。誰を信用したらいいのかわかりません。

 事件から1年9カ月がたった現在でも涙を流さない日はありません。たった3年11カ月しか生きさせてあげられなくてごめんなさい。親として我が子を失うことほど、つらく残酷なことはありません。この先も助けてあげられなかったことを一生後悔しながら苦しんでいくのです。前園長と元担任はこの苦しみを理解してください。

 私たち遺族に少しでも寄り添った判決を願います。もう何をしても私たちの大切な千奈は戻ってきません。実刑を望みます。

父親の意見陳述(要旨)

 千奈は私たち家族の主役であ…

共有
Exit mobile version