天皇陛下をはじめ、皇族方の活動や皇室に関連する出来事を過去にさかのぼって紹介する「皇室365」を始めました。皇室のあり方が問われる中、公務や宮中行事などのトピックを毎週、担当記者が詳しく読み解きます。
■5月12日(1998年)天皇、皇后両陛下が英国訪問
5月12日(1998年)天皇、皇后両陛下が英国訪問
1998年のこの日、天皇、皇后両陛下(当時)が欧州訪問を前に記者会見に臨んだ。5月23日~6月5日の日程で、ポルトガル、英国、デンマークの3カ国への旅だった。
特に注目されたのが、1971年の昭和天皇以来、27年ぶりとなった英国訪問だ。第2次世界大戦中、約5万人の英兵が旧日本軍の捕虜となったとされ、両陛下の訪問にあたり補償や謝罪を求める声が強まっていた。
会見で、天皇陛下は「不幸にも戦火を交えることになり、誠に残念なことでした。戦後、両国は良好な関係になってきていますが、その陰には戦争の傷を癒やすために、双方で地道に力を尽くしている人々の努力があったことを忘れることはできません」と述べた。そのうえで、英国の新聞にも目を通していたようで、「戦争の傷」が消えない面があるとも言及した。
皇后さまも「今も日本との関係におき、辛い記憶に苦しむ人々のあることを深く心に留め、将来両国の間に、二度とこのような苦い歴史の刻まれぬことを祈りつつ、訪問の日々を過ごすつもりでおります」と述べた。
両陛下は25日に英国に到着。26日には歓迎行事に臨み、エリザベス女王(当時)と天皇陛下、夫君のフィリップ殿下と皇后さまが別々の馬車に乗ってバッキンガム宮殿までパレードした。その沿道で、英国内から集まった元捕虜たちが馬車に背を向け、抗議の意思を示した。
皇室と英国には長い交流があ…