川底が露出し、日照りでひび割れする地面

 「浪人」や「悪党」の名で日本史に登場するアウトローたち。村落共同体の貴重な労働力として重宝されていた時期もあったが、13世紀になると村との関係性に亀裂が走る。日本中世史の専門家は「気候変動」でその変化を読み解く。

 黒澤明の名作「七人の侍」は戦国時代が舞台とみられ、作中のせりふにも「天正」という元号が出てくる。略奪に苦しむ百姓たちが、7人の侍を雇って野武士の襲撃から村を守る。村の外にいる者は、ルールに従わず共存できない危険な存在だという印象が強い。

 日本史には、確かに公的な課役を負わない「浪人」(浮浪人)や、既存の支配者に従わない「悪党」と呼ばれる人々が存在した。

 だが、13世紀までの浪人は、農地を開墾する労働力として村に招き入れられる存在だった。そんな関係性が変化し、浪人が村から排除され、鎌倉幕府からは悪党予備軍と見なされるようになる。その背景には、当時の気候変動とそれに伴う飢饉(ききん)があると国立歴史民俗博物館助教の土山祐之(ゆうし)さんは指摘する。

村の古老も未体験の大飢饉

 「雨が降りすぎれば洪水。降…

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