中国政府が、欧州連合(EU)域内産のブランデーやチーズといった輸出品に対し、ダンピング(不当廉売)などの疑いで調査を連発している。EUは中国製の電気自動車(EV)に追加関税を課す構えで、それに対する牽制(けんせい)とみられる。ただ、米中対立が激しくなる中、EUとの関係は極端な悪化を避けたいという中国側の思惑も透ける。

 中国は8月29日、EU産のブランデーについて、不当に安い価格で輸出するダンピングを確認したとする調査結果を発表した。メーカー別に金額ベースで30.6~39.0%のダンピングが存在し、「中国国内の関連産業が実質的な損害を受ける恐れがある」と指摘。反ダンピング関税の発動をちらつかせた。

 中国税関当局によると、2023年の中国のブランデー輸入額のうち99%以上をフランス産が占める。EUは、中国製のEVが中国政府の補助金により不当に価格が抑えられ、競争をゆがめているとして、最大36.3%の追加関税を課す方針。フランスはEVをめぐるEUの保護主義的な動きの先鋒(せんぽう)となってきた。ブランデーへのダンピング認定は、そのフランスを狙い撃ちにして揺さぶりをかけたものとみられる。

 中国政府は、チーズなどの乳…

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