中ロ主導の国際枠組み「上海協力機構(SCO)」の首脳会議が1日、中国・天津で開かれ、議長を務めた中国の習近平(シーチンピン)国家主席は「平等で秩序ある世界の多極化」を提唱した。グローバルサウス(新興・途上国)を引き寄せ、米欧主導の国際秩序に対抗する姿勢を強めている。
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SCOは2001年、中ロと中央アジア諸国の計6カ国が設立。その後、インドやイランなどが加盟し10カ国に拡大した。準加盟の国々も加えると26カ国で、中ロが同様に加わる新興国グループ「BRICS」よりも多い。習氏は演説で「国際的な影響力は日増しに高まっている」と自賛した。
自国優先主義の傾向を深めるトランプ米政権が、途上国援助を担う米国際開発局(USAID)を解体したのとは対照的に、習氏はグローバルサウス重視の姿勢を鮮明にしている。習氏は会議で、加盟国に対して20億元(約400億円)の無償援助を年内に行うと約束した。再生可能エネルギーや人工知能(AI)分野での協力も打ち出した。
今回中国側は、SCOに加盟していないマレーシアなど東南アジアの首脳らも招待し、拡大会議も開催。国の大小にかかわらず、平等に参画できるグローバルガバナンスの必要性を訴え、「途上国の発言権を高める」と宣言した。
こうした概念は、かねて強調する米欧中心ではない「多極化した世界」という主張と重なる。清華大学の周波・戦略安全研究センター研究員は、「米国自身がもはや世界は一極ではないとしており、多極化は歴史の潮流に沿ったものだ」と指摘。「途上国としてもこの列車に乗り遅れまいとしている」と解説した。
ロシアの狙いは
一方、ウクライナ侵攻を続け…