中国の無人探査機「天問2号」が29日未明、四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられた。国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。中国では初めて小惑星から岩石などの試料を持ち帰る「サンプルリターン」に挑む。
- 中国、「地球外生命体の探索」を目標に開発を加速
CCTVによると、天問2号は約2年半かけて、1400万キロ以上離れた太陽系の小惑星「カモオアレワ」から試料を持ち帰る計画。この小惑星は地球とともに太陽を公転しており、月の破片ではないかという説がある。試料から太陽系の進化の過程を解き明かすことが期待されるという。
さらに地球への帰還機と分離後、火星と木星の軌道の間にある彗星(すいせい)の探査に向かうといい、プロジェクトの期間は9年半に及ぶ。
小惑星からの試料採取は、日本や米国が成功させている。中国も昨年、世界で初めて月の裏側から試料を持ち帰るなど、サンプルリターンに重点を置く。研究成果を相次いで発表したり、他国に試料を貸し出したりすることで、宇宙開発における国際的な存在感を高めている。
カモオアレワは直径40~100メートル程度と小さく、地球からの距離が月の約40倍あるなど、着陸の技術的な難易度が高い。火星からのサンプルリターンをめざして2028年ごろの打ち上げを予定している「天問3号」に技術的な足がかりを提供する狙いもある。