中国北西部・甘粛省の幼稚園で、園児200人以上の血中鉛濃度が異常値になっていることが明らかになった。子どもの食の安全をめぐる問題には特に敏感な社会だけに、全国的な注目が集まった。原因が、園の給食に故意に混入された物質にあるとみられることで、騒ぎがさらに大きくなっている。

 甘粛省東部にある天水市の地元当局が今月1日、人々の問い合わせに答える形で、「幼稚園で添加物の違法な取り扱い事案があり、園児の血中鉛濃度に異常が起きている」と説明したことが明らかになった。中国メディア「界面新聞」などが報じた。

園児233人の血中鉛濃度の異常が明らかになった甘粛省天水市の褐石培心幼稚園=中国メディア「澎拝新聞」のサイトから

 人体に有害な鉛は、血中濃度が高まると頭痛や感覚がなくなるといった症状を引き起こすほか、胃腸や生殖機能などに障害を引き起こす恐れがあるとされる。地元では、発表以前から子どもたちが下痢や食欲不振、体調の不良を訴えることが相次いでいたという。

 その後の報道で、被害が起きているのは天水市にある私立の「褐石培心幼稚園」と伝えられた。「70人が病院で異常値を示す」「19人が鉛中毒で入院」と深刻な状況が明らかになっていった。血中濃度が基準値の4倍を超える子もいた。鉛の影響で歯の一部が黒くなっているとみられる子どもの写真も報じられている。

甘粛省天水市の幼稚園の事件にからみ、ネットメディアで引用されている写真。子どもの歯が黒くなっていることを、保護者が報道陣に見せているとみられる=中国のネットメディアから

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