Smiley face
写真・図版
台湾軍が報道陣に公開した主力戦車「エイブラムス」の実弾射撃訓練の様子=2025年7月10日、新竹、高田正幸撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 台湾で年に1度の最大規模の軍事演習となる「漢光」が9~18日の日程で行われている。演習は過去最長となる10日間にわたって行われ、中国軍の侵攻を念頭に、武力攻撃かどうか判断が難しいグレーゾーン事態への対応や持久戦を想定した演習を実施する。非常時における市民の対応力の向上にも力を注ぐ。

  • 中国軍、第1列島線内に70隻超展開 台湾総統就任1年で能力誇示か

 台湾軍は14日、南部・高雄で、敵艦接近を遅らせることを目的とする機雷の敷設演習を行った。頼清徳(ライチントー)総統も視察した。

 中国軍が台湾へ侵攻した場合、米軍の介入を避けて短期決戦を目指すとの見方がある中、台湾軍は近年、敵の前進を遅らせる「縦深防御」や持久戦を耐え抜く能力の向上に努めている。過去の演習では上陸を阻止することに重点を置いていたが、軍関係者によると、今回は市街地作戦や持久戦も想定する。敵軍の上陸も念頭に置いた形だ。約2万人の予備役も招集する。

 グレーゾーン事態への対応も演習の想定に新たに組み込んだ。台湾国防部(国防省)によると東部・宜蘭の軍港では10日、海巡署(海上保安庁に相当)船に対艦ミサイルを搭載する訓練を実施。海巡署船を軍事作戦に用いることを想定した演習で、武装化を進める中国海警船への対抗も念頭にあるとみられる。

「社会の強靱性」の強化にも力

 上陸や持久戦を念頭に置いた…

共有