アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)初日の5月31日、基調講演に立ったフィリピンのマルコス大統領は「戦争」という言葉を用いて、南シナ海でフィリピン船に危険な行為を繰り返す中国を強く牽制(けんせい)した。対抗姿勢のレベルをさらに上げた形だ。
- 「ホットスポット」目前に滑走路建設 中国の圧力にさらされる海の町
念頭にあるのは、今年3月にスプラトリー(南沙)諸島のアユンギン礁近海で起きた事件だ。中国海警局の船がフィリピンの補給船に放水砲を撃ち込み、軍人4人が負傷した。フィリピン政府によれば、南シナ海での補給任務で負傷者が出たのは初めてだった。
マルコス氏は、出席者の質問に答える形でこの事件に触れ、「国民が(相手の)故意の行為によって死亡した場合、それは戦争に極めて近い。それ相応の対応を取る」と警告。相互防衛条約を結ぶ米国も同じ基準を持っているとの認識を示し、共同で反撃する可能性を示唆した。
「もしそのような事態になれば、ルビコン川を渡ったことになる。間違いなくレッドラインだ」
これまで積極的には触れなか…