雨が降るなか、家族や先輩らに「加油!(がんばって)」という声をかけられ試験会場に送り出される受験生=2024年6月7日、北京市、井上亮撮影
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 中国の大学入試の全国統一テスト「高考」が7日、始まった。今年の出願者数は前年比51万人増の1342万人と過去最高を更新。激しい競争で教育費の負担がのしかかり、少子化を加速させる要因になっている。

 受験会場の北京市内の高校では同日朝、受験生やその家族らが雨の中、次々と到着。自発的に集まった卒業生らが「加油!(がんばって)」などと声援をあげ、ハイタッチを交わして送り出した。近くの高校に通う鄭さん(18)は「興奮し、少し緊張もしている。目標の大学に合格したら法律を勉強したい」と意気込んだ。

 中国の受験競争は熾烈(しれつ)だ。今年の受験生が生まれた2005~06年は出生数が23年と比べて約8割も多い約1600万人にのぼり、大学などへの進学率も上昇している。中国のシンクタンク「育媧人口研究」が2月に発表した報告書によると、0~17歳までに子どもの教育などにかかる養育費は全国平均で約54万元(1150万円)と、4年間で約110万円増えた。北京と上海では100万元(2140万円)前後と大都市では跳ね上がる。1人当たり国内総生産(GDP)の6・3倍で「世界最高に近い」水準という。

 中国政府は学習塾に対する規制強化で子育て費用の低減を図るが、教育熱は依然高い。高学歴化が大卒者の雇用のミスマッチを生み、近年は若者の失業率上昇も社会問題となっている。(北京=井上亮)

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