ダライ・ラマ14世(89)が2日、亡命先のインドで「輪廻(りんね)転生」制度を存続して後継者を選ぶ方針を表明した。統制を強めるとされる中国も別の後継者を認定する可能性が指摘されており、対立がさらに深まる恐れがあるが、トランプ米政権の姿勢ははっきりしていない。
- ダライ・ラマの輪廻転生、中国外の可能性 14世が声明、制度存続へ
- 「ダライ・ラマ制存続」への強い願いに応えた 識者が読み解く声明
「ダライ・ラマ制度の存続を求める多数の訴えがあった」
14世はこの日の声明で、チベット亡命政府の関係者や各国の仏教徒、中国本土など各地から制度存続の要請があったと明かした。一方で、かつて取りざたされたこともある後継者の生前指名などには触れなかった。自身の健康状態が良好であるとし、今後の情勢を見守る姿勢とみられる。
亡命政府によると、中国国内に住むチベット族は600万~750万人程度とされる。一方、2009年の人口調査では、中国外にいるチベット人は約13万人で、そのうち約9万4千人がダライ・ラマ14世や高僧らが拠点を置くインドで暮らしていた。ただ、就職難のインドから欧米やオセアニアの国などに移住する人も増えているという。
亡命政府は中国国内では100万人近い子どもたちが中国当局が管理する寄宿学校で学習していると主張。中国語による授業が大半で、チベットの言語や文化などを学ぶ機会は減少していると訴える。
中国政府は声明に反発した。中国外務省の毛寧報道局長は2日の記者会見で、チベット仏教の「中国化」が信仰を侵しているのではないかと問われ、「いかなる宗教の発展も、国の社会環境と文化伝統に適応する必要がある」と強調した。
中国政府、チベットの開発成果を強調
中国は07年、チベット仏教…