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博多港に着岸したクルーズ船と正規のタクシー乗り場=2024年10月4日午前11時45分、福岡市博多区、山本達洋撮影

 クルーズ船から福岡の港に降り立った中国人観光客の親子3人が乗り込んだのは、国際ターミナルそばに止まっていた、1台のワンボックスカーだった。

 車はアプリで予約。1日あたりの料金4万円で貸し切りだ。中国語が話せる運転手の案内で、人気の観光地、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)へ向かった。

 九州を訪れる中国人は急増している。コロナ禍で一時中止されていた国際クルーズ船が昨年5月に再開したことが大きい。

 九州運輸局によると、九州を訪れた中国人は今年上半期だけで約43万人で前年同期の23倍になった。

 国内のほかの観光地と同様、九州でも外国人が期待するのは日本の「食」だ。

 天満宮めぐりを終えたこの中国人親子も例外ではない。再びワンボックスカーに乗り込むと、福岡市内にある高級日本料理店に腰を下ろした。

 親子に想定外のことが起きたのは、店から外へ出たときだった。待っているはずの運転手の姿が、見当たらない。

 一体どこへ――。代わりにそこにいたのは、福岡県警の交通捜査課の捜査員だった。

 県警はこの日、ある情報をも…

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