1990年代に日本で暮らす中国人留学生たちを追い、日中両国で大きな反響を呼んだドキュメンタリー番組を作った張麗玲さん(57)が、留学生たちの姿を描くドラマ「私たちの東京ストーリー」(BSフジで毎週日曜午前1時から放送中)を制作した。留学生たちがさまざまな困難や挫折を体験しながらも、多くの人との出会いや努力によって人生を切り開いていく30年間の物語が、当時は伝えきれなかった「秘話」も交えてつむがれている。
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北京で俳優として活動していた張さんは、89年に自費留学生として来日。成田空港に着いたとき、不安や興奮が入り交じった周りの中国人留学生たちの顔を見て、「こんな表情は俳優でも絶対できない。カメラを持って一緒に行けば、きっとすごくいいストーリーが撮れる」と確信したことで、ドキュメンタリーの撮影を決意した。
ドラマ「私たちの東京ストーリー」は、TVerとFODでは1月31日まで全話無料で配信しています。
大学院を卒業して社会人となった95年から、商社勤務の傍ら手弁当で撮影を続けた。そうして製作したドキュメンタリーシリーズ「私たちの留学生活~日本での日々~」が、90年代末から2000年代半ばにかけて日中両国で放送され、高視聴率を記録。シリーズの「小さな留学生」と「泣きながら生きて」は放送文化基金賞を受賞した。
今回のドラマは、主人公の20歳の中国人女性が89年に来日するところから始まる。期待に胸を膨らませていた留学生たちの多くが、日本での厳しい生活に直面。言葉や価値観の壁、アルバイト漬けの毎日、保証人とのトラブル、さらには肉親や恋人との死別、不法滞在への転落、就職後の苦労などさまざまな経験を重ねつつ人生を歩んでいく姿を全10話で描く。多くの困難を克服しながら、留学生たちのドキュメンタリーを撮影する主人公は、張さん自身とも重なる。
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