シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)では31日、ヘグセス米国防長官が演説した。批判の矛先となったのは中国の軍事的脅威だったが、当の中国は国防相の派遣を見送り、反論も低調に終わった。
この日の会議で、国防相が不在でも「陰の主役」となったのが中国だ。
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「アジア太平洋をかき乱す内容だ」。この日、海洋問題の分科会に登壇した国防大学の胡鋼鋒副校長は、同盟国などに戦力増強を求めたヘグセス氏の演説を念頭に反論したが、ごく短時間の発言にとどまった。
中国は昨年まで、コロナ禍による中止を挟んで4回連続で国防相を派遣してきた。2年前の李尚福国防相の演説では、地域への中国の貢献度合いを強調するなどし、好意的な評価もあった。中国軍出身で清華大戦略安全研究センターの周波氏は「我々はシャングリラを重視している」と語る。
記事後半では、アジア安全保障会議についての説明や、過去の会議での米中国防関係者の接触について振り返ります。
国防相を派遣しなかった理由は
しかし今回、中国が派遣した…