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 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、7月6日に90歳の誕生日を迎えるのを前に、後継者選びが注目を集めている。中国の支配に反発し、インドに亡命してから66年。中国のチベット族の間では世代を超えて信仰が受け継がれており、ダライ・ラマ14世を敵視する中国政府は警戒を強めている。

  • ダライ・ラマの後継者選びなぜ注目? 理解するための五つのポイント

 チベット自治区のラサから北東に約1千キロ。青海省西寧近郊の山あいの村にダライ・ラマ14世の生家はある。記者が6月中旬に車で向かったところ、集落の5キロ手前で通行止めになっていた。

写真・図版
ダライ・ラマ14世の生家がある山。5キロ手前で通行止めになっていた=2025年6月13日、中国・青海省、小早川遥平撮影

 それまで信号一つなかった道に「森林防火点検」という看板と鉄柵が突然現れた。写真を撮ろうとすると、制止に来た係員が無言でそっと山側を指した。先に見えるのは警察の検問所だ。

 文化大革命で破壊された後に修復された生家は、1990年代に外国人記者に公開されたことがある。当時の記事は年約1千人の信者が訪れると伝えるが、今では中国の地図アプリで村名を検索しても場所すら表示されない。

立ち入りを許されない生家の村。それでも、近くの寺院で出会った少年は、ダライ・ラマについて語りました。

沈黙する住民

 山のふもとに暮らす回族の男…

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