日系自動車メーカーが長く市場を押さえてきたタイで、その日本勢に逆風が強まっている。新車販売が歴史的低水準に沈むなか、中国メーカーが仕掛けた電気自動車(EV)の価格戦争も激化し、シェアが切り崩されている。
- 日本車の牙城を襲った異変 タイで初のシェア80%割れ、その正体は
タイ工業連盟が24日発表した11月の国内自動車販売台数は前年同月比で31.3%も減り、4万2309台にとどまった。1~11月の合計では26.7%減の51万8659台。近年は年80万台規模で推移してきたが、2024年通年では、リーマン・ショック直後の09年(54万8871台)以来の低水準となる可能性が高い。
車が売れないのは、コロナ下に家計の借金が積み上がり、自動車ローンの審査が厳しくなったことが大きい。物価高も重しになっている。日本勢はそれに加え、中国メーカーによるEVの販売攻勢にもさらされている。
11月下旬からバンコク近郊で催された見本市タイ・モーターエキスポの報道公開日。中国のEV大手BYDのブースでは新たなスポーツ用多目的車(SUV)がお披露目された。登壇した販売店経営者は、通常129万9900バーツ(約588万円)からの販売価格を約15万バーツ値引きすると明かした。
約2週間のイベント期間中の販売成約件数は1位がトヨタ自動車で、ホンダは3位。日本勢がまだ貫禄を見せてはいるが、2位のBYDなどトップ10のうち6ブランドを中国勢が占めた。
「東洋のデトロイト」にあふれる中国EV 拠点機能としての将来は
中国勢による値引き合戦は2…