愛知県犬山市立東部中学校で6日、校内に潜んでいた不審な男が犬山署に建造物侵入容疑で逮捕された。男の逮捕後に明らかになったのは、学校の防犯カメラの故障。逮捕までの4カ月間、誰も気づいていなかった。
事件を受けて市教育委員会は緊急調査をし、11日朝までに市内のほかの小・中学4校でも故障が見つかった。
東部中は10日夜、保護者を集め、事件や防犯カメラの故障などの経緯を説明した。
署や学校側によると、6日午後1時ごろ、職員が廃棄文書を置くため校舎1階の相談室に入り、押し入れを開けたところ、住所不定の大学生の男が寝ていた。男は通報を受けた署員に建造物侵入の疑いで現行犯逮捕された。抵抗する様子はなく、潜んでいた動機や期間などは不明という。
相談室は校舎の正面玄関のすぐ近くにあるが、事件後、正門を撮影している防犯カメラは2月2日から故障していたことがわかった。
さらに職員室にある防犯カメラのモニターに長期間、何も映っていなかったのに学校が故障と思わず放置していた実態も明らかになった。
学校側はこれらの事実を明かす前、「モニターは必ず職員室にいる誰かが見ている」と説明したため、説明会に集まった約200人の保護者の間に、防犯対策への不信感が広がった。
小竹摩記校長は、正門への感知センサー設置など複数の再発防止策を示し、生徒の心のケアを最優先する考えを示した。「校長としての責任を、重く、深く感じている。深くおわびする」と陳謝した。
市教委は今月10日朝に小中の緊急校長会議を開き、不審者対応訓練など防犯対策の徹底を呼びかけた。(嶋田圭一郎)