【神奈川】学校でも家でもない自分たちの「居場所」をつくろうと、中学生たちがフリースペースを運営する試みが3月、藤沢市内で始まった。自分たちが本当に望む「居心地の良さ」について話し合い、本や漫画、お菓子にWi―Fiを用意して、同世代の立ち寄りを歓迎している。
市内の中学2年生、鐘ケ江一葉さん(14)が友人ら5人と手がけるのは、同市片瀬1丁目の空き家の一室を活用した「みかじり文庫」。もともと、この空き家を地域の交流拠点として運営してきたNPO法人「湘南まぜこぜ計画」が昨秋、運営についてのアイデアを地元の中学生たちに求めたのがきっかけだった。
鐘ケ江さんたちが何度も話し合い、こんな場所があったらいいと描いたのは、「学校や家がつらくなったとき、気楽に過ごせる居場所」。運営メンバーの中には、中学入学後に不登校を経験した子もおり、学校の枠にとらわれず、同世代が集える場があれば、「多くの人が助かるし、自分がつまずいたときにも安心できる」と思ったという。
中学生たちの熱心さと視点の確かさに、NPO共同代表の原田建さん(60)は感心。大人は口を出さず、本格的に中学生に運営を任せたところ、活動をPRするために近くの中学校を訪問したり、ビラを作って配布したりと本気の営業が始まった。
日曜の夕方など、メンバーが3人以上集まれるときに「文庫」を開店。来た人に特段話しかけたり、何かをやらせたりはせず、本や漫画を読んだり、ゲームをしたりして自由に過ごしてもらう。また「目安箱」を置き、提案を採り入れていきたいといい、メンバーの別の中2は「ここでは自分の『好き』が誰にもバカにされない。そんな場所にしたい」と話す。
次回は30日午後3~6時。4月は13、20日開催。出入り自由で無料。場所の詳細や問い合わせは原田さん(090・5449・1160)。