連携協定を結んだ茨城ロボッツの川崎篤之社長(左)と角川ドワンゴ学園の山中伸一理事長=2025年1月16日午後2時40分、水戸市南町1丁目、中村幸基撮影

 バスケットボールB1茨城ロボッツが、主にオンラインで学ぶ高校生らと課外学習やスポーツビジネスでタッグを組む。縁を取り持ったのは茨城県内の中学3年の女子生徒。思いを伝えた一通のメールが実を結んだ。

 生徒は、インターネットによる通信制高校を運営する角川ドワンゴ学園の「N中等部」で学ぶ。ロボッツの大ファンだ。

 ある日、ロボッツと学園の双方へメールを送った。「学園の友達と一緒にロボッツで学ぶことは、学園を通じて全国にロボッツのファンの輪を広げられることにもなるのでは」という内容。N中等部で体験学習プログラム作りの実行委員になっており、大好きなロボッツで社会体験の機会を作れないかと考えたのがきっかけだ。

 たびたび足を運ぶロボッツの試合会場では、選手のプレーはもとより、華やかな演出の多彩なイベントに魅了された。「どのようにして企画・運営されているのだろうか」とプロスポーツの仕事に興味を持ったという。

 生徒のメールに、大人たちが動いた。ロボッツの川崎篤之社長は「バスケットボールと地域の発展には、次世代とのコミュニケーションが不可欠。個性的で才能に恵まれた子どもたちと組めたら」。学園の山中伸一理事長も「連携でスポーツビジネスの現場や地域の盛り上げ方を生徒たちが体験できる」と応じた。

 ロボッツを運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント、学校法人角川ドワンゴ学園、4月に開学予定の「ZEN大学」を手がける学校法人日本財団ドワンゴ学園の3者が、スポーツと教育の推進に関する連携協定を結ぶことになった。

 ロボッツは地域おこし活動や飲食店事業も展開しており、学園は全国各地の生徒たちがオンラインでつながっている。それぞれの強みを生かした連携を図る。

 すでに学園の課外学習プログラムとして、ロボッツのユニホームデザインの仕事体験を実施。水戸市発祥のアパレル大手アダストリアの協力で、生徒のアイデアをもとにした期間限定ユニホーム作りが進んでいる。

 また、ロボッツ所属の18歳以下のユース選手を対象にした特別奨学生制度も設ける方針。競技と学業を両立させてネットで柔軟に学べる、角川ドワンゴ学園のN高校などへの進学の道を開く。

 連携協定の調印式は、1月16日に水戸市であった。きっかけを作った生徒も会場の片隅にいた。本人の希望で名前を紹介されることもなく、式典を見届けると、そっとその場を後にした。

 「こんなに大きなことになるなんてびっくりです。でも、勇気を出して思いを言葉にして伝えてよかった」

 今春、N高校へ進学する。「なにができるか、ワクワクしています」

共有
Exit mobile version