Smiley face

 大阪府寝屋川市の少年補導員の男性は、夜に街を行く子どもに声をかけるとき、ある事件のことを口にする。

 2015年、夏休み中の深夜に外出中の中学1年の男女が殺害された。

 大人の目が行き届いていれば、違う結果だったかもしれない――。男性を突き動かすのは、子どもを守れなかったことへの自戒の念だ。

 事件から13日で10年になる。

 5日、京阪寝屋川市駅近くの寝屋川一番街商店街やその周辺に、青いキャップをかぶった男性たちの姿があった。

写真・図版
商店街を巡回する寝屋川署委嘱の少年補導員ら=2025年8月5日午後7時25分、大阪府寝屋川市、米田怜央撮影

 大阪府警の委嘱を受けたボランティアの少年補導員で、この日は午後7時から40分ほど寝屋川署員らと計15人で声をかけて回った。

 「すぐ帰ってね」「遅くならんように」

 署員らがそう呼びかけるのをよそに、少年補導員の荻野茂基さん(77)は女子中学生2人にこう尋ねた。

 「10年前に事件があったの…

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