将来の公的年金の給付水準低下が見込まれる中、「企業年金」は会社員の老後を支える資産形成の柱の一つだ。ただ、制度の導入は大企業が中心で、中小企業のうち、従業員100人未満の企業では2割に届かない。制度がない企業で働く人は、どんな備えをするべきなのか。
アンティーク家具の輸入販売をする「MAKE VALUE」(東京都)は約90人の従業員がいる。2008年に創業し、もともと企業年金の制度は取り入れていなかった。約2年前に「企業型確定拠出年金(DC)」を導入した。
元証券会社員の井上巨望社長(42)は、資産形成の重要性を肌身で感じてきたが、「駆け出しの頃はがむしゃらで、年金や将来を考える余裕はなかった」と話す。だが、従業員が増えるにつれて将来の安定を考えたいとの声が聞こえ始めたことをきっかけに、企業年金を導入したという。
なぜ中小企業で広がらないのか
DCは、企業が掛け金を出し…