中小企業の賃上げをめぐる調査結果を公表する日本商工会議所の担当者=2025年6月4日、東京都千代田区、山口博敬撮影

 日本商工会議所は4日、2025年度の中小企業の賃上げに関する調査結果を発表した。定期昇給と賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を合わせた正社員の賃上げ率は4.03%だった。

 前年調査(3.62%)を0.41ポイント上回ったものの、経団連が5月発表した大企業の今春闘の賃上げ率(5.38%)とは開きがあり、企業規模による賃上げの格差が埋まっていない状況が明らかになった。

 日商が中小企業の賃上げ率を調査するのは2年目。調査は4~5月に実施し、全国の会員企業3042社から回答を得た。

 調査対象は、正社員の月給(基本給)で、賃上げ率4.03%を金額で見ると1万1074円。昨年実績(9662円)を1412円上回った。ただ、従業員数20人以下の企業に限ると賃上げ率は3.54%、賃上げ額は9568円にとどまり、小規模企業ほど賃上げの環境は厳しい傾向だ。

 25年度に賃上げを実施(予定を含む)できた企業は69.6%で前年を4.7ポイント下回った。業績は改善していないのに、「人手確保」や「物価高対応」といった理由で「防衛的賃上げ」をおこなった企業が約6割あり、賃上げを見送った企業の約6割が理由を「売り上げの低迷」と回答した。

 回答企業からは「販売価格にコストを転嫁できず、賃上げは利益を圧迫する」(九州の小売業)、「安心して賃上げができる環境整備を期待したい。社会保険料の負担軽減を求めたい」(四国の卸売業)などの声が寄せられたという。

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