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中山美穂さんの「お別れの会」の祭壇には、中山さんが好きだったダリアの赤い花もあしらわれた=2025年4月22日、東京都千代田区の東京国際フォーラム
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 昨年12月に54歳で亡くなった、歌手で俳優の中山美穂さんの「お別れの会」が22日午後、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。著名人ら約800人が参列。映画監督の岩井俊二さんや俳優、歌手の小泉今日子さんらが別れの言葉を述べた。午後3時半からは誰でも献花できる時間が設けられ、ファンたちの長蛇の列ができた。主催者によると約1万人が参列したという。

 ほほえみを浮かべた中山さんの写真が飾られた祭壇は、コンサートのステージをイメージした形。バラやアジサイなどとともに、中山さんが好きだった赤いダリアの花があしらわれた。

 会は午後1時に開始。黙禱(もくとう)を捧げたのち、俳優や歌手として幅広く活躍してきた中山さんの経歴が紹介され、ヒット曲「世界中の誰よりきっと」「幸せになるために」なども流された。

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 別れの言葉を述べたのは、元キングレコードの音楽プロデューサー福住朗さん、岩井さん、小泉さんの3人。

「この人なら一人二役を演じられると確信」

 岩井さんは、中山さんが主演した映画「Love Letter」(1995年)でメガホンを取った。中山さんは天真らんまんな女性と、心に傷を抱えた女性の一人二役を演じ、高い評価を得た。

 岩井さんは、初めて会った時に「この人なら一人二役を演じられると確信」して、「私、映画はあまり好きじゃない」とこぼす中山さんを「ぜひ2人で素敵な映画を作って、一緒に映画を好きになりましょう」と説得したという思い出や、完成した映画を見た中山さんがその後しばらく立ち上がらなかったというエピソードを明かした。

 「よほど映画に感動してくれたんだとあのときは思ったけど、あれは全身全霊で何かを成し遂げた人が、その代償として見舞われる後遺症だったのかもしれません」

 中山さんは撮影当時、心に傷を抱えた女性、渡辺博子役をどう演じるか悩んでいたという。岩井さんは「あなたが演じた渡辺博子は、僕がイメージした渡辺博子そのものでした」とたたえた。

「かわいい妹。美穂、元気でね」

 小泉さんは「初めて会ったのは、テレビ局の控室。狭い部屋を、2人で使うことになったんだよね。人見知りの美穂は、上手にほほえむことすらできなかった」と語り始めた。

 82年にデビューした小泉さんは、85年にデビューした中山さんと姉妹のような関係だった。「あなたの瞳の中には、自分の心の中の真実、つまりサンクチュアリには誰にも侵入させないという強い意志が宿っていた」「その瞳を見た瞬間に、この子とは仲良くなれそうだと思ったのでした」と振り返った。

 また、小泉さんは「天国で(中山さんが)出会ったかたたちのために」と、中山さんの「取扱説明」も紹介した。「ものすごく楽しそうにはしゃいでいるときは、心の中で大きな問題を抱えている可能性があります。寄り添って、目を離さないで」「自分の気持ちを言葉にするのが苦手です。限界まで我慢してしまうことがあります。そのときは、抱きしめてあげてください」――。

 そして最後に、涙声で何度も名前を呼んだ。「美穂、さよなら。よく頑張ったね。美穂、ありがとう。かわいい妹。美穂、元気でね」

 中山さんの才能を見いだした…

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