イスラエルによるイラン攻撃に続き、米国がイランの核施設を攻撃したことを受けて急騰した原油価格が「停戦合意」の報道で下落するなど、乱高下しています。原油や天然ガスの輸出に国家財政の多くを依存つつウクライナ侵攻を進めているロシアには、どんな影響があるのでしょうか。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査部長の原田大輔さんに聞きました。
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――イランが攻撃されると、なぜ原油が高くなるのでしょうか。
イランの輸出能力は日量170万バレル程度で、世界の需要量の2%弱ぐらいしかありません。例えば7%程度を握るロシアと比べてもごく小さく、イランの石油が市場から無くなっても、中東を中心とする他の産油国がカバーできる規模です。従って、イランの原油輸出が止まることで価格が高くなるとしても一時的と言えるでしょう。
他方で、イランがホルムズ海峡を閉鎖するような事態が発生すれば、確かに影響は大きいです。ホルムズ海峡は世界の原油貿易量の20%が通過し、十分な代替ルートが存在しないため、価格が高騰するのが確実です。しかし、イランはそのようなことはやらないだろうという見方が強い。イラン自身が原油を輸出できなくなってしまうし、サウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェートなどの主要国を敵にまわすことにもなるからです。
「停戦合意」が報じられてい…