全日本アンサンブルコンテストの本番を終え、笑顔を見せる旭川明成の吹奏楽部員たちと佐藤淳先生=2025年3月20日午前11時17分、福井県立音楽堂、原知恵子撮影

 「ようやく、ここに来られたなあ」

 旭川明成高校吹奏楽部を指導する佐藤淳先生は20日、木管八重奏のメンバーの演奏を見守りながら、2021年度まで勤めた前任校・旭川商業高の教え子たちの顔を思い浮かべた。

 この日の会場は「ハーモニーホールふくい」(福井市)。5年前の全日本アンサンブルコンテストの会場だった。ところが、大会は新型コロナウイルスの影響で中止に。当時の教え子たちは全国切符をつかみながら、涙をのんだ。思い出さないわけがなかった。

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当たり前じゃない

 旭川商業高2年だった河合莉奈さん(22)は、その時のメンバーの一人だった。

 後輩3人と組んだクラリネット四重奏。「私たちはチャレンジャー。努力あるのみ!」と年末年始も練習に明け暮れ、4人で自主的な合宿も敢行。学校が使えないときは、カラオケボックスで音を重ねた。

 結束も演奏のレベルも高まり、「この4人なら金賞をとれる」。大舞台での披露を待ちわびていた。コロナで世界が一変したのは、その矢先だった。

 扉は次々に閉ざされた。アン…

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