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工事用のフェンスで封鎖された中野サンプラザ=2025年3月27日、東京都中野区、木佐貫将司撮影

 事業費の高騰で東京都中野区が「白紙」の方針を決めていた「中野サンプラザ」の再開発について、野村不動産ら事業者が6月30日、区と結んだ事業推進協定の解除に同意した。現行の計画は正式に撤回されることになる。区は今後、新たな再開発計画を立て、事業者も選び直す方針だ。

 野村不と区の関係者への取材でわかった。

 区議会が協定解除の議案を19日に議決。区は野村不と協議していた。今後について、野村不の担当者は「再公募に応じる可能性も含め、何も決まっていない」とした。一方、区の担当者は「区議会で報告したとおり、計画の見直しを進めていきたい」と話した。

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 区は7月以降、区民や関係団体との意見交換会や市場調査を行い、再開発計画の大元である「再整備事業計画」を見直す。そのうえで、来年3月にも新しい計画案を示す方針だ。

 当初の計画ではサンプラザの跡地に地上61階、高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」を建設する予定だった。高層棟にオフィスや住宅、展望施設、隣接する低層棟にはホールやホテルが入るとしていた。

 だが、野村不など事業者側が2024年9月、人件費の高騰や物価高を理由に工事費が「900億円超増える」と区に連絡。区は同年度の着工を断念し、29年度内の完成予定も延期した。その後、事業者側はコストを抑えるため、住宅割合を増やして高層ビルを2棟にする「ツインタワー」案を区に提示した。だが、区は3月、「区民の交流施設が後退した」などとして案を拒否する考えを表明していた。

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