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工事用のフェンスで封鎖された中野サンプラザ=2025年3月27日、東京都中野区、木佐貫将司撮影
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 事業費の高騰でいったん、白紙になった東京都中野区の「中野サンプラザ」の再開発について、区が計画の大元である「再整備事業計画」の見直し案を2026年3月に示す方針であることが分かった。今年度中に新たな再開発の概要を決め、計画を進めたい考えだ。

  • 【連載】中野サンプラザ再開発「白紙の真相」

 区が区議会へ10日に示した資料でわかった。現在の再整備事業計画は、区が20年1月に策定。最大7千人規模の大ホールやバンケット(宴会場)の設置など、再開発のコンセプトや基本方針などが盛り込まれていた。新たな「床」の一部を売り開発資金をうむ「市街地再開発事業」で進めるとし、区は野村不動産などと事業推進の協定を結んでいた。

 区は、民間事業者と結んだ事業推進の協定を解除した後、7月以降にも区民や関係団体との意見交換会や市場調査を実施する考えだ。来年3月に計画の修正案の素案を示す方針という。あわせて、新たな事業手法の方向性も示すとしている。

 酒井直人区長は2日の区議会で「区民の意見や民間事業者の知見と合わせ、時代に合わせたものへと一部見直しを図る」と述べた。

 区によると、当初の再開発計画では、サンプラザの跡地に地上61階、高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」を建設する予定だった。高層棟にオフィスや住宅、展望施設、隣接する低層棟にはホールやホテルが入るとしていた。

 だが、野村不動産が24年9月、人件費の高騰や物価高を理由に工事費が「900億円超増える」と区に連絡。区は同年度の着工を断念し、29年度内の完成予定も延期した。事業者側はコストを抑えるため、住宅割合を増やして高層ビルを2棟にする「ツインタワー」案を区に示した。だが、区は「区民の交流施設が後退した」などとして、この計画を受け入れず、再開発を「白紙」に戻す意向を示した。

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