労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員。高水準の回答が相次いだ=2024年3月13日午後0時36分、東京都中央区、内田光撮影

 今年の春闘について厚生労働省は2日、主要企業の賃上げ率が、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせて5.33%(前年比1.73ポイント増)だったと発表した。1991年以来33年ぶりの高水準となった。

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 集計対象は、資本金10億円以上、従業員1千人以上の労働組合がある348社。賃上げ額は月給平均1万7415円で、第1次石油危機時の74年以来50年ぶりの高さとなり、65年の統計開始から過去2番目の高さだった。

 産業別の賃上げ率は、2年に1度春闘をする鉄鋼(12.49%)が最も高く、造船(6.53%)、機械(6.45%)が続いた。他の産業も5~3%台で、全産業が前年を上回った。

 労組の中央組織・連合が先月まとめた最終集計でも、傘下の5284組合の賃上げ率は5・10%(前年比1・52ポイント増)だった。このうち、組合員300人未満の3816組合に限っても4・45%(同1・22ポイント増)と高水準だった。

実質賃金はマイナス続く

 ただ、労組のない企業などを含めた働く人全体では、足元の賃上げが物価上昇率(3%以上)に届いていない。高騰する物価を加味した5月の「実質賃金」は、前年同月比1.3%減(確報)で、過去最長の26カ月連続で前年割れとなっている。

 歴史的な高水準だった春闘の結果が、労組のない企業を含め、社会全体に波及していくかが注目される。(宮川純一)

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