インタビューに応じる久保田智子教育長=2025年3月25日午後3時6分、兵庫県姫路市役所、東孝司撮影

 元TBSアナウンサーの久保田智子さん(48)が兵庫県姫路市の教育長になって1年。飛び込んだ教育の世界で、どのように新風を吹き込ませようとしているのか、インタビューした。

 ――心がけてきたことは

 私に期待されたのは、新しいまなざしで教育行政に携わることだと思います。単純な前例踏襲にはなりません。行政や現場に詳しい2人の教育次長のサポートを受けながらも、日々これはどういうことかと問い続けた一年でした。

 私は米国や国内の大学でオーラルヒストリー(口述歴史)の研究をしました。その手法では、上下関係をなくし、対等な立場で会話を行うことが重要です。だからトップダウンではなく、みんなの意見を聞いて判断するよう心がけてきました。

 メディアの立場で社会の変化を最前線で見続けてきました。そんな私が学校のあり方、学校と地域の連携のあり方などに対し、今の時代に即したアップデートを呼びかけることが大切だと思っています。

 ――特別養子縁組の娘と姫路に転居してきた

 毎朝、保育園児の娘をママチャリで送ってから、午前8時半までに登庁しました。特別職ですが基本は定時です。タイムカードでピッと打刻しています。午後5時20分ぐらいに仕事を終えると娘を迎えに行き、ご飯を作り、お風呂に入れ、8時までに寝かせます。仕事と子育てしかしていないですね。土日は夫が東京から来て、家族3人で過ごしています。

 ――仕事は忙しい

 会議や来客などでスケジュールがすぐに埋まります。会合や式典であいさつをするのも大切な仕事です。就任当初と違って最近はあいさつの冒頭と最後だけ原稿が用意され、あとは自由ですので、教育長である私個人の考えを伝える場にしています。

 学校訪問をどんどんしたいと思っていますが、業務が多く、まだ全体の半分程度しか回れていません。数だけでなく、時には1日中、学校にいて、児童生徒と交流したいのですが、これもまだ1回しかできていません。

 出会う先生方は、子どもの笑顔や、子どもが「分かった」というその瞬間の表情が好きだと言います。子どものためを優先していて、そこを負担だとは思われていないようです。だからこそ、先生が本来の業務に集中できるよう業務の線引きが必要で、中央教育審議会で示された「学校・教師が担う業務に係る3分類」(「基本的には学校以外が担うべき業務」などを例示)について地域や保護者、議員にもわかってもらえるよう発信し続けるのが、私の役目だと思っています。

探究学習やグローバル教育にも注力

 ――ふるさと納税制度のクラウドファンディング(CF)で寄付を募った

 私たちは子どもたちが望む学…

共有
Exit mobile version