(25日、第72回春季東海地区高校野球大会1回戦 岐阜城北5―4東邦)
2点を追う九回裏1死満塁。大歓声の中、岐阜城北の打席に太田陽民(はるひと)遊撃手(3年)が入った。
4番だ。「決めてやろう」。だが2球で追い込まれ、柔軟に気持ちを変えた。「欲を捨てて次につなげよう」。180センチの体格ながら変化球をしなやかに捉え、同点の中前適時打を放った。
修羅場は何度もくぐってきた。昨夏の甲子園でも4番に座り、強豪・智弁学園(奈良)との延長戦の死闘を経験。ナイターを見守る大観衆の前で安打も放った。それでも「4番目の打者という気持ち」と気負わない。
今春の県大会は4試合でわずか2安打と不振に陥った。着目したのは、プロ野球の三冠王・落合博満さんの打撃。「打つポイントを決めておく」意識を持ってバットを振るようにした。映像を見つつ、「コツをまねしました。いい感じでした」。この日の複数安打で復活を印象づけた。
浮ついたところはない。「一つ勝ち、チームの雰囲気が上がった。緩まず、引き締まっていきたい」と次戦を見据えた。