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 九州各地で発生した一連の大雨で、最初の大雨特別警報が鹿児島県に出てから15日で1週間となった。これまでに判明した死者・行方不明者は、熊本・福岡・鹿児島3県で計8人(死亡6人、行方不明2人)。8人はいずれも土砂災害警戒区域などで災害に巻き込まれたとみられ、専門家は「ハザードマップの重要性が改めて確認された」と指摘する。

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熊本市中心部を流れる坪井川の近くの道路も80センチほど浸水した=2025年8月11日午前1時47分、熊本市内

 気象庁などによると、太平洋高気圧が南に下がった結果、前線が九州付近に停滞し、梅雨末期のような気圧配置になった。九州・山口では8~11日に線状降水帯が12件発生。24時間降水量は鹿児島県霧島市で515.5ミリ、熊本県玉名市で453.5ミリなど14地点で観測史上1位を記録し、各地で浸水や土砂崩れの被害が相次いだ。

 死者・行方不明者8人のうち7人は避難などで自宅の外にいたとみられている。

 各県や消防などによると、熊本県甲佐町では一家が避難中に車ごと土砂崩れに巻き込まれ、車内にいた母子計3人は救助されたが、様子を見るために車外にいた父親(57)が亡くなった。

 同町では、出勤途中だったとみられる60代の女性が行方不明。下流にある熊本市内の川で見つかった女性の遺体との関連を調査している。

 同県八代市では用水路に転落した車から見つかった高齢の女性が死亡した。熊本市南区では、バイクで外にいた男性(74)が同区内の浜戸川で見つかり、溺死(できし)だった。同市北区では車ごと流された男性が行方不明。

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土砂崩れが起きた道路=2025年8月11日午前6時40分、熊本県八代市泉町下岳、住民提供

 福岡県福津市では川に流されたとみられる高齢の男女2人が、同県宗像市沖で遺体で見つかった。

 鹿児島県姶良市では土砂崩れで倒壊した住宅付近から見つかった30代女性が亡くなった。

 20年以上にわたって豪雨被害を調査してきて、今回現地調査をしている静岡大の牛山素行教授(災害情報学)は「起こりうる被害が、起こりうる場所・タイミングで起こった災害だ」と指摘する。

 牛山さんの調査では、これま…

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