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 九州一の繁華街である福岡・天神には、「山」がある。ホールやオフィス、会議場などが入る官民複合施設「アクロス福岡」だ。2階から最上階の14階までの南側の屋上に緑化スペースが設けられ、まるでビルが木々で覆われているように見える。

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アクロス福岡の夜景。木々の緑と空の青さが都会にいることを忘れさせる=2025年7月23日、福岡市中央区、小宮路勝撮影

【撮影ワンポイント】アクロス福岡

 都市の中心部で木々に覆われた山のような建物が横たわる。夜なのに昼間のように明るい都会感、それが今回のイメージ。アクロスは、福岡では有名な建物なので一度は見たという人も多いのではないかと思い、既視感が出ないように考えた。周辺のビルにも明かりがともる時間まで待ち、より都会感が出るように撮影した。(小宮路勝)

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 アクロス福岡は1995年、福岡県庁が移転した跡地に完成した。米国の建築家エミリオ・アンバース氏が階段状の緑化スペースである「ステップガーデン」を目玉とする構想を練り、日本設計や竹中工務店が中心となって設計。造園家の田瀬理夫(みちお)氏が緑化の監修をした。

スプリンクラーほぼ稼働せず

 初夏の平日、夕方のステップガーデンには、歓談したりベンチで読書したりと思い思いに過ごす人々が見られた。各階には散策路が設けられ、ハイキングもできる。階段を上ると、木々が風に揺れる音や鳥のさえずりが聞こえ、草木と土の匂いがした。水をまくスプリンクラーも設置されているが、ほとんど稼働していないという。

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アクロス福岡の屋上に続く階段は森の中を歩く爽快感がある=2025年6月28日、福岡市中央区、小宮路勝撮影

 竣工(しゅんこう)当初に植えられた植物は76種。30年経った今では約200種に増えた。後から植えたものもあるが、クスノキやユズリハなど、野鳥が落としたと考えられる種から育った植物もある。

 アクロス福岡を管理するエイ…

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