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派手な化粧まわしを披露する、独特の土俵入り。屋号で呼んで近況も紹介する。隠岐古典相撲大会の最初の見どころだ=島根県隠岐の島町、横関一浩撮影
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 夕暮れに始まり、月明かりの下で続き、夜明けからボルテージが上がり……。隠岐古典相撲大会が、久しぶりに開かれました。島の天下一武道会かと思いきや、旅した記者が目にしたのは。

甚句アゲアゲ、何かが騒ぐ

 尾根が闇に溶け、セミに代わって秋の虫が鳴き始める。神社の境内にある土俵では、男たちが四股やすり足をしている。

 ぶつかり稽古の後、土俵入りの手順を繰り返す。「ヨッ!」の掛け声と手を広げるしぐさがそろうと、笑いが起こる。

 9月12日。島根県沖の日本海に浮かぶ隠岐諸島の島後(どうご)では、隠岐古典相撲の開催が目前だ。

 一晩中やって、島が相撲一色になる――。そんな大会があると相撲愛好家から聞いていた。昨年、大相撲隠岐の海の断髪式で応援団が力士たちに大量の塩を浴びせ、知名度が上がった。

 今年、久しぶりに開かれると知り、島へ。多くの独特な決まりと用語を一夜漬けで学ぶ。

 島後は西郷、都万(つま)、五箇など地区ごとに対抗意識が強い。隠岐古典相撲では複数の地区が集まって東西に分かれる。主催者側は東の「座元」、相手側は西の「寄方(よりかた)」だ。今年は合併した隠岐の島町町政20周年記念とあって、町役場のある西郷と都万が座元、五箇が寄方となった。

 大会を主催する隠岐古典相撲大巾(おおはば)会が7月に番付を決め、地区ごとに稽古に励む。9月13日は前夜祭で男たちは宴会だ。突然相撲甚句が始まり、士気と一体感を高めていく。

 「やっと来たかな」。西郷大巾会の松井忠弘会長(73)はしみじみ語る。今回の第15回大会は2020年に予定していたが、コロナ禍で延期した。前回から12年も空いたのは過去最長だ。

 不定期に開かれ、出場は推薦で決まる。自分の意思を超えた大会に、力士たちは謙虚だ。

 町役場隣の駐車場の会場は、アスファルトを掘り起こして土俵を建てている。

 14日夕、長じゅばんを肩にかけた力士たちが列をなし、幟(のぼり)をはためかせてのしのしと会場へ。拍子木のキンキンと高い音、よどみない相撲甚句の間に、野太い合いの手が入る。

  ハードスコイドスコイ

 駆り立てるようなアゲアゲの…

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