殺人事件の起きた乳児院のある敷地=2025年6月1日午前9時8分、佐賀市金立町、岡田将平撮影

 さまざまな事情で家庭で暮らせない乳幼児が生活する乳児院で、職員が切りつけられて殺害される事件が起きた。預かられた子をめぐり、容疑者の母親らに、佐賀県や県警などが対応してきたが、未然に防ぐことはできなかった。どういった経緯だったのか。

 事件が発生したのは5月31日夕方。佐賀市金立町の乳児院「みどり園」で、同県武雄市の会社員の女(28)が施設職員の女性(55)を包丁で殺害しようとした疑いで現行犯逮捕された。女性が死亡し、県警は2日、殺人と銃刀法違反の容疑で送検した。ほかに20代女性職員が両腕に多数、50代女性職員が腕に1カ所かみ傷があったといい、病院に運ばれた。

 県によると、乳児院には容疑者の子が5月12日から預けられていた。この子についての相談が県中央児童相談所にあったといい、児相が「距離を置いた方がいい」と児童福祉法に基づき一時保護、乳児院に委託したという。児相は容疑者と夫に一時保護についての説明をし、質問に対し、面会の際は容疑者単独ではなく夫と来るように伝えた。

自傷の恐れがあって「警察官通報」

 翌13日の昼ごろ、容疑者か…

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