佐賀市の乳児院「みどり園」で、女性職員(55)が殺害された事件で、殺人容疑で送検されたのは、園で一時保護されていた子どもの母親(28)だ。乳児院は、虐待などで児童相談所に一時保護された乳幼児の受け皿にもなっているが、児童福祉の専門家は「再発防止のためにも経緯の検証が必要」と話す。
- 乳児院で起きた殺人事件、現場で何が 自治体「予見できなかった」
事件は5月31日に起きた。母親は夕方にみどり園を訪れ、包丁で女性職員を切りつけ、殺害した疑いがある。県警によると、女性職員の胸部や両腕に複数の傷があったという。
前兆はあった。
母親は、子どもが保護された5月12日の翌13日、児童相談所に電話で子どもを返すよう強く要求した後、児相を訪問。興奮して職員ともみ合いになったり、消毒用アルコールを口に含むなどの自傷行為に及んだりしたため、児相は警察に通報。母親は警察に保護された。
警察官から精神保健福祉法に基づく通報を受けた保健所は、母親と面会して主治医とも話し、措置診察は不要と判断。15日に母親が受診していることを確認し、対応を終えた。県は「事件は予見できなかった」としている。
「共有されるべき情報だった」
全国乳児福祉協議会(東京)…